バスに園児を置き去りにした幼稚園の杜撰な管理体制

酷い交通違反や事故などを稀に取り上げている当ブログですが、通園バス内に園児を置き去りにした幼稚園の事件報道で、保護者会でのお父様の悲しみと怒りの言葉を聞き、涙したアーチビブログのあーさんです。

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1.事件について

2022年9月5日、静岡県の認定こども園の通園バス車内に5時間も置き去りにされた3歳の女の子(千奈ちゃん)が心肺停止の状態で発見され、その後、死亡が確認されました。

発見時の体温は40℃程度で重度の熱中症。
上半身の服を脱いだ状態で空になった水筒が見つかっていることから、暑くて苦しい中、必死に頑張っていたことがわかります。

事件当日は本来のバス運転手が休暇をとり、臨時運転手3人にも代行を断られたため、理事長兼園長(73歳)が運転手をし、補助員として派遣職員の女性(70歳)が乗車し、園児6人が乗っていました。

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2.4つの人的ミス

園側は4つのミスを認めています。

(1)確認を怠る

バス降車時に乗車名簿と実際に下車する園児を照合する決まりが伝えられていませんでした。
乗車した6人は確認していたけれど降りた人数は確認していなかったんです。

また本来ならば、コロナ感染防止のため最後に各シートの除菌作業をするのですが、それもされていませんでした。

副園長曰く「園長がやってくれると思っていた。コミュニケーション不足だった。」とのこと。

(2)ダブルチェックを怠る

運転手(園長)も補助員(派遣社員)も降車時にバス車内を確認していません。
車内の最終確認(残っている子供がいないか、忘れ物がないかなど)をしていなかったんです。

園長曰く「補助員にお任せしているからそこまで気が回らなかった。」とのこと。

(3)最終の登園情報確認を怠る

8時55分に補助職員が園児の管理システムを確認したが登園確認が出来ず、その1分後にバスに乗車していた女性派遣社員が管理システムに6人分の登園を入力したが、その後、園側は確認を怠っていました。

副園長曰く「9時過ぎに確認できていれば(千奈ちゃんが)登園していることが分かったんですが。」とのこと。

(4)保護者への確認を怠る

登園予定の園児が来ていなかった場合、職員室に連絡が来ていないかの確認をすべきところを確認していませんでした。

クラスの副担任が「千奈ちゃんいないけど欠席になっていませんよ」と言うと、それを聞いた担任は「ほんとだね、おかしいね」と言ったが確認はしなかったとのこと。

確認をしなかった言い訳は。
弁護士曰く「保護者に電話しても出ない」とか、「ごめんなさい忘れてました」というケースがそれなりに多くあり、確認作業が少しずつ疎かになっていったとのこと。

千奈ちゃんの家族は、アプリ入力も電話連絡も怠ったことがない真面目な家族です。

にもかかわらず、担任は「今日は連絡がないけど休みなのかな」と勝手に思い込んで連絡をしなかったとのこと。

3.最低な謝罪会見

理事長兼園長の謝罪会見で、亡くなった園児の名前を間違えながら辞任意向と廃園も含めて検討するとし、「私がいなくなったら園が更によくなるように。」と言っている途中で弁護士から「園を続けるかはまだ決まっていない」と止められると「そうか、廃園になるかもしれないよね」と言ってマスク越しに満面の笑みを浮かべました。

照れ隠しの笑みなのでしょうが、遺族が見たらどう思うか

「たまたま起きたのか 起こるべくして起きたのか」という記者の質問に対して「両方だと思います」と答えた園長ですが、これだけ杜撰(ずさん)な管理体制が日常化しているのに「たまたま起きた」と答えるのは遺族への礼儀を大いに欠いた最低の謝罪会見でした。

4.親との約束

入園当初は親が送り迎えをしていたが、一度バスを利用したところ「楽しかった」と言うからバス登園に切り替え、バスに乗って幼稚園に行くのを楽しみにしていたとのこと。

バス登園児童の中では一番幼稚園に近いから「一番最後に乗るんだから、みんなが降りるのを待って一番最後に降りようね。コロナの時期だからバスでは話をしないようにしようね」と教育されていたそうです。

5.保育士とは小さな命を預かるプロ集団

保育士とは、「登録を受け、専門的知識及び技術をもって、児童の保育及び児童の保護者に対する保育に関する指導を行うことを業にする者」と規定されています。

任されて小さな命を預かるプロ集団なんです。

育児や仕事に追われる家庭では連絡を忘れることもあるわけで、連絡を入れない親にこそ連絡を入れて確認や指導をすべき立場であり「連絡しない親が多いからこちらもしない」というのはあり得ない行為なんです。

6.補助員の立場

バス降車時に、補助員は一番小さい2歳児の手を取って最初に降車したとのことですが、2歳児を見る必要があったとしても、広くはない車内なので一緒に確認しながら最後に降りればいいんです。

乗車人数を管理システムに入力した人が降車人数を確認すれば間違いが起こらないはずです。

7.ミスではなく怠慢

下図が当時の配置図です。

キャラバンタイプの後部乗り降り口は下画像の一か所です。

同タイプの違う車両の画像になりますが、スライドドア開口部は大きくて、下画像のように千奈ちゃんの席も見えるにもかかわらず見落としているんです。

これは、ミスではなく怠慢であり、お父様が仰るように明らかな過失ではないでしょうか

注意を怠って結果を予測できなかった不注意による失敗が過失とすれば、この事件は「故意(日々の怠慢により起こるべくして起きた事件)」と言ってもいいのかもしれません。

8.まとめ

システム改善や対策を練っても、職員が怠慢ならば意味がないんです。

幼稚園にとって欠席者の確認は絶対にやらねばならない義務であり、それを怠れば不安な気持ちに駆られるのが普通だと思うのですが、担任と副担任は千奈ちゃんがいないことに不安は感じなかったのでしょうか

休憩時間や昼食時にでも確認していれば助かった命だと思うと、園の怠慢さに怒りを覚えずにはいられません。

私も子供の幼少期は保育園の送迎をしていましたし、今年はお爺ちゃんになったから感情移入してしまうんです。

「明らかな過失です ふざけるなと 悔しくてたまりません」

と、悲しみを押し殺して絞り出したお父様の発言を全ての保護者の言葉として受けとめて、子供たちを守っていただきたいと願います。

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