人身事故の加害者だけど警察が味方になってくれた理由

こんにちは、アーチビブログです。

迷惑運転を許さないやら、警察署長表彰を受けたやら、善人ぶっている私ですが、過去に人身事故を起こしてしまったことがあります。

軽い事故と言えばそうなのですが、一筋縄ではいかない場合もあるという、千差万別の中の一つの例として報告したいと思います。

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1、接触事故

その日は、普通車がギリギリすれ違える幅の道路を軽トラで走行しておりました。
民家が道路に近いので時速30キロ程度の速度です。

何処にでもある風景かもしれませんが、こういう道路って、庭の植木がはみ出している場合がありますよね。

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前方不注意の事故

この道路の先は右にカーブしていてその先は見えないので、私は対向車が曲がって来ないかと、先のカーブを見ておりました。

その時、左目の視界の片隅に何かが見えたんです。
はっきりと視界に捉えたわけでは無く、黒い影のような形で視界に入ったというべきかもしれません。

慌てて、ハンドルを右に切ると同時に急ブレーキを踏みました。

バンッ!という音と、キーッ!というタイヤのスキール音が響きました。

被害者との会話

急いで車から降りると、60代くらいの女性が倒れた状態から直ぐに立ち上がられました。

「大丈夫ですか?お怪我はありませんか?」と声をかけると、「頭に当たったみたいだけど、大丈夫ですよ。」という返事。

酷い状態ではないと分かり、とりあえず胸を撫で下ろしつつ車両を見ると、左のミラーが倒れていたので、どうやら右側頭部とミラーが接触したようで、バンッという音はミラーに当たった音でした。

女性が道路の確認をしないで出てこられたのも理由ですが、子供の飛び出しではないので、ゆっくりと歩み出されたと思います。

遠方を見ていて近くの注意を怠った私の不注意が原因です。

「本当に申し訳ない。頭を打たれているので救急車を呼びましょう。」と言うと。

「大丈夫だから、救急車なんて恥ずかしいから、呼ばなくていいから!」という返事。

「じゃあ、事故報告はした方がいいから直ぐに警察に連絡しますね。」と言って、警察に電話をしていた時、ご主人と、近所の方々が出て来られました。

警察への連絡

「ブレーキの音が聞こえたから出てみたら、うちの家内が引かれたんか!で、あんた、救急車は呼んだんか?」とご主人に言われました。

「救急車はまだです。そうですね。呼んだ方がいいですよね。」という事で、警察と電話中ということもあり、ついでに救急車を呼んで欲しい旨を伝えると、警察からひと言

「あんたねぇ!救急車の要請を警察にやらせるの?自分が起こした事故なら自分でやりなさいよ!」と、お叱りを受けました。

これね。私が110番に電話した事なんて、前に書いた、ひき逃げ通報の時しか経験がなくて、その時と同じ手順で依頼したつもりだったのですが、善意の第三者と加害者とでは、警察の対応は180度違う事を知りました。

勿論、怪我が酷い場合は何をおいても直ちに119番なのですが、本人から救急車は必要ないと言われたこともあり後手後手になった感じです。

ちなみに、被害者の女性は最後まで、「大丈夫だからね。」と言ってくれていました。

ひき逃げを通報して表彰された記事は下の画像をクリックすると開きますので、興味がありましたら覗いてみてくださいませ。

バタつきましたが、被害者は救急車で運ばれ、警察の処理も終わり、保険屋へも連絡を入れ、とりあえず仕事場に帰ってその日の仕事をこなしてから病院にお見舞いに行くのですが、ここから事態が変わって行くことになります。

2、事態急変

病院に行ってみると、被害女性の部屋のドアに「面会謝絶」の紙が貼ってありました。

身体の状態が急変する事もあるので気が気ではありませんが、ご本人にもご家族にも会わせていただけないということで自宅に帰りました。

そして、その日の夜、1本の電話がありました。

事故現場の近所の男性からでした。
わざわざ私の家の電話番号を調べて電話をくださったようです。

その話しに、ゾゾッ!っと、背筋に寒気が走ったのですが、「あの家の旦那は、とんでもない食わせ物だから銭をふんだくられるぞ!油断するんじゃないぞっ!」という内容でした。

この電話と面会謝絶の件。その時点ではどちらも漠然としていて意味が分からないので、その日の夜は一睡もできませんでした。

3、被害者に会えない日々

それから1週間、私は毎日病院に行きますが面会謝絶は変わりません。

被害者への気遣いが一番なのは分かっていても、入院期間によって免許の点数が変わることもあり、免停という事になれば、自分の仕事が成り立たない事や取引先へ迷惑をかける事など、不安な気持ちしか持てない日々でした。

この事故の場合、信号無視や飲酒運転などの基本的な行政処分がない事例なので、運転免許の付加点数は、被害者の入院日数が大きく関係します。

例を挙げると、現在の交通事故による付加点数は、以下の表となります。

被害者の負傷程度 加害者の不注意により事故が発生した場合 相手にも非がある場合
死亡 20点 13点
治療期間が3か月以上または後遺障害が伴う傷害事故 13点 9点
治療期間が30日以上3か月未満 9点 6点
治療期間が15日以上30日未満 6点 4点
治療期間が15日未満または建造物の損壊あり 3点 2点

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4、有利にならないか働きかけてみた

会いに行っても会ってくれない状態なので、被害者からの連絡を待つしかないのかと思っておりましたが、様々な不安を打ち消す意味でも、自分からアクションを起こす事にしました。

まず、病院関係者の友人へ連絡し、「守秘義務は分かっているけど伝えられる範囲でいいから」と、相手の状態を聞きました。

その内容は、嬉しくもあり、更なる不安を生む内容でもありました。

〇 患者の状態としたら、「ただの打ち身である。」というのが嬉しい内容。
面会謝絶は旦那の意向」というのが不安をあおる内容です。

頑なに面会謝絶にする理由が分からないので、近所の方から頂いた電話の内容が真実味を帯びた感じです。

上の表では治療期間となっておりますが、当時調べた時は、入院期間が2週間を過ぎると確実に免停になるという情報でしたので、出来る事ならば15日未満で退院して欲しいと願う気持ちも病院の友人に伝えました。

そして、10日目くらいに、友人から連絡が入ります。

「治療的には入院の必要はない状態だから、強制ではないけれど近日中に退院してもらう。」との事で、とりあえず気持ちが落ち着きました。

私の面会は叶わなかったのですが、保険屋さんは面会しているわけで、入院から13日目くらいに退院され、今後は通院に切り替えるという情報は保険屋さんから入りました。

5、警察が味方についた?

事故当日の事情聴取にはありのままを伝え、100%私に非があると認めていたのですが、その後、書類作成の事情聴取をするという事で警察に出向きました。

その時に、警察から、被害者の家族が証拠隠滅をしている可能性を教えて頂きました。

というのは、事故現場の写真を撮ろうと後日現場に行くと、庭木には葉がなく、私の供述とは異なっているが、事故当日は葉が茂っていた事は確認済みなので、証拠を変えるやり方から、警察も食わせ者の旦那さんが相手であると認識し、私に同情してくれた形になりました。

6、総合保険だけど自分で示談交渉

事故から1ヶ月以上経った頃、保険屋さんから連絡が入りました。

「あれから、ずっと通院されてはいましたが、そろそろ終わりにしたいので、本人が出向いて最終的な話しをつけて頂けませんか?」とのことでした。

任意保険は総合タイプに入っていたので示談交渉は保険屋任せでいいのですが、こちらとしても被害者本人と会って話したかった事もあり伺う事にしました。

加害者なので、言ってはならない言葉になりますが、「敵は旦那さん」という気持ちがあり、相手の好みは知りませんが、とりあえず、菓子折りと高級な冷酒を車に積んで出かけました。

ご主人に出迎えて頂き、事故当日の経緯からご迷惑をお掛けして申し訳なかった事などを話していると、奥様が顔を見せてくれました。

そして、「色々と迷惑をかけて悪かった。お兄ちゃん(私の事)が落ち込んでないかと気になっていた。病院も行くほどではなかったんだけど、主人が後遺症の恐れもあるから行けと言うので行っていた。」等、確認せずに道路へ出た自分が悪かったというお言葉を何度も頂きました。

「お身体の具合はどうですか?」と聞くと、「もう大丈夫です。」と答えて頂き、被害者本人の意思確認ができました。

でも、この件は、ご主人に納得していただかないと終わりとは言えません。

「時に親父さん、お酒はお好きですか?」と聞くと、「わしは日本酒が好きで毎日晩酌をする。」との事で、高級冷酒の出番です。

「お口に合うかどうか分かりませんが、僕は飲まないので飲んで頂けませんか?」

と言うと、非常に喜ばれました。

「お兄ちゃん良い奴だな。お返しにうちで採れた芋が沢山あるから持って帰れ。事故については、これ以上何も言わないから、たまには遊びに来い。」

ということで、一件落着となりました。

ただ、「たまには遊びに来い」という言葉が引っかかったので、「辛い思いをさせたご家族の家に伺うのは気が引ける。」

という気持ちを伝えて、本当の一件落着となりました。

7、気になる処分について

<行政処分>

なんと、免許については「おとがめなし」となりました。

事故後適切な処置を取っていて違反は見られない。
被害者との示談も終わっているので不問に処すという事です。

詳しい事は分かりませんが、対応してくれたお巡りさんは親身になってくれる方で非常に有り難かったです。

彼以外でも同じ対応だとは思いますが、私自身は、親身になってくれたお巡りさんだからこその裁きだと感じて感謝しております。

<刑事処分>

これも、不問に処すという形になりましたが、厳罰化が進んでいる現在はどうなるのか
とにかく、事故を起こさないことが第一です。

<民事処分>

保険で支払った通院費等の損害賠償は300万円を超えておりました。

以前、私の父親が軽い事故に遭った時、病院嫌いの父が病院に行くはずもなく、保険屋は大助かりだったと思うのですが、通院を重ねればかなりの金額になる事を知りました。

ご主人の機嫌が良かったのはこれかもしれませんが、では、実費以外にどれだけ手元に入ったかなんて想像しても仕方ないですし、食わせ者というよりも、シッカリしたご主人で、使える権利を使い切られた。という見方が正解なのかもと思いました。

加害者として不謹慎を承知で語れば、面会謝絶の理由は、怪我の程度が軽い事を知られたくなかったのかもという考え方もできますし、事実、会いたくても会わせて頂けない日々は、そういう事も含めて、様々な負の感情に心が支配されていました。

私の方は任意保険の等級が20等級から少し下がったとしても、直ぐに挽回出来ますし、免許はそのままで罰金もなし、不安に満ちて苦しかった1か月以上の事を思えば、円満解決で終われたことで、払った代償は無いに等しいくらいです。

任意保険なんて掛け捨てでバカらしいと、入っていない事を自慢している後輩がおりまして、「これだけは、何かあった時のために入っておけ」と説得したことがあります。

一番辛いのは被害者とご家族であるのは当然ですが、加害者と家族も辛いのが交通事故なのだと思います。

もし、任意保険に入っていない方がおられましたら、等級が上がるまでは安めの設定からでもいいから、入ることをおすすめ致します。

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