こんにちは、アーチビブログです。
前回、オートバイのエンジン冷却について記事を書いたのですが、空冷エンジンと水冷エンジンと言えば、私には直ぐに思い浮かぶ両雄のエンジンがありました。
でも、それを述べ始めると話が長くなるので今回の記事と分けた次第です。
6気筒エンジン。そして、空冷・水冷の両雄と言えば、ピンッと来るのは私だけではないと思いますが「HONDA CBX 1000」と「Kawasaki Z(KZ)1300」です。
この2車を語るには、これも話が長くなるので、まずはCBXから。
車名 | 排気量 | 内径×行程 | バルブ数 | 最高出力 | 最大トルク | 乾燥重量 |
---|---|---|---|---|---|---|
CBX1000 | 1047cc | 64.5×53.4mm | 4 | 105ps/9000rpm | 8.6kg-m/8000rpm | 247kg |
Z1300 | 1286cc | 62.0×71.0mm | 2 | 120ps/8000rpm | 11.8kg-m/6500rpm | 296kg |
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HONDA CBX 1000
1978年当時、市販車世界初の直6(インライン6)DOHCエンジンを搭載し、世界初の100psオーバーと時速200kmオーバーのスーパーバイクとしてデビュー。
ホンダスポーツバイクの「CB」に未知の領域を表す「X」をプラスした究極のCBとして「CBX」と名付けられました。
車名に排気量は冠されず「HONDA CBX」だったと記憶しております。
私的には、バイクの空冷エンジンで最も美しいと思うのがCBXの並列6発なんですよねぇ☆
(1)市販車世界初の6気筒バイクは?
市販車初の6気筒バイクは、1974年にベネリというイタリアメーカーから「750Sei」が発売されているのですが少々マイナーであり、誰もが知っている6気筒バイクの先駆者と言えば「CBX」だと思います。
(2)ホンダの6気筒エンジン
ホンダにとって6気筒エンジンというのはCBXが初めてではなく、1964年に「3RC164」という250ccのワークスレーサーで6気筒エンジンを開発しております。
私が1歳の大昔です!
他メーカーの2サイクルレーサーに勝つために、4サイクルの多気筒化で勝負を挑んだのは、まさにホンダイズムです。
(3RC164)
最終型の「RC166」は圧倒的な強さを誇り、そのパワーは「60ps/18500rpm」でした。
多気筒化で回転数を稼ぎパワーを絞り出す手法ですが、6本出しマフラーであることを見ても、4サイクルエンジンの集合マフラーによる軽量化やトルク設定が確立されていない時代でした。
あの時代に250ccで4バルブDOHC6気筒なんて、恐るべしホンダの技術陣です。
ちなみに、高回転でのパワーを求めたレーシングエンジンだからアイドリング回転数は6000回転だそうです。
低速トルク全く無し!
少し話が逸れますが、現在の250cc4気筒エンジン搭載車と言えば「Kawasaki ZX-25R 」ですが、ZX-25Rの最高出力46馬力を発生する回転数は15500回転(ラムエア加給時)です。
市販車は低速も大事です!
(ZX-25R)
(3)CBXの苦悩
話はCBXに戻りますが、実は販売面では苦戦したんです。
凄いエンジンを搭載し、カッコ良くてオーラも纏っているのに何故?ですよね。
それは、車体剛性が足らなくて高速域での安定感に欠けたから!お値段が高過ぎたから!
大雑把に言えばこの2点。と記憶しております。
当時のバイクのフレームはエンジンを支えて囲うスチール製のダブルクレドールフレームが主流でした。
(ダブルクレドールフレーム)
でも、6気筒故に極力横幅を狭くした設計でシリンダーピッチが狭く、美しく伸びた6本のエキゾーストパイプの隙間ではフレームパイプが干渉してしまう問題を抱え、エンジンをフレームの一部として使用するダイヤモンドフレームになったんです。
(ダイヤモンドフレーム)
上からエンジンを吊るタイプのフレームなので、当時のスチール製では強度的にCBXのパワーとエンジン重量を受け止めきれなかったこともあり、コーナリング中のねじれ剛性不足や高速域での車体剛性不足が生まれたんです。
そして、翌年に発売されダブルクレドールフレームに4気筒DOHCを搭載した「CB900F」は、CBXの半額以下の価格でCBXより軽くて速くてカッコいい!ということもあり、CBXの販売は苦戦するんですね。
(CB900F 95ps/9000rpm 232kg)
では、なぜ未完成っぽい6気筒車を作ったの?ということになりますが、「カワサキが1000ccを超える6気筒バイクを開発している」という情報を得たホンダは「カワサキより先に6気筒車を作ってやる!」と、短期間で開発したのがCBXという説があります。
もちろん、市販6気筒の開発には軽量化やコストなど多大な苦労と努力があったのですが、ホンダには短期間で開発できるノウハウと技術と情熱があったことは確かです。
(4)現在でも高値で大人気です
剛性不足云々と言われておりますが、ダイヤモンドフレームだからこそ、この美しく巨大なエンジンが引き立つわけで、私ならば、ぶっ飛ばさないで6気筒のシルキーフィールを味わうクルーザーとして乗りますね。
また、このむき出しの美しいエンジンはガレージで眺めても最高ですよね。
巨大すぎるエンジンが、燃料タンク幅や車両の幅を無視してるでしょ?
センターに配置されたカム駆動チェーンを左右3気筒ずつで挟んだ関係でカムは4本。そして24のバルブと6連装キャブレター。
こんなレイアウト、現在では考えられないですよね!
だからこそカッコいいんです!(笑)
ちなみに、「Kawasaki Z1300」の6気筒エンジンはタンク幅と合わせてあります。
<まとめ>
私が学生時代に入り浸っていた喫茶店にエキパイやマフラーが錆びだらけのCBXでコーヒーを飲みに来るオジサンがいました。
当時の私は「もっとキレイに乗ってあげればいいのに。」と思っていましたが、彼は、雨の日も風の日も日常の足としてCBXを使っていたわけで、今思えば、あのオジサンってカッコ良すぎです☆
青春の思い出です☆
というわけで、「CBX 1000」宝くじが当たったら欲しいです!
中古車価格はメチャメチャ高額です!
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