エンジンの「ウェットサンプ」「ドライサンプ」って何?  四輪と二輪の違い

こんにちは、四輪&二輪の漫画が大好きなアーチビブログの あーさん です。

四輪の漫画が好きな人なら知っているであろう「湾岸ミッドナイト」「頭文字D」に登場する有名な2台の車。

「S30 フェアレディZ」「AE86 スプリンタートレノ」のエンジンは、過激な走行に対応するためにエンジンオイルの潤滑方式を「ウェットサンプ」から「ドライサンプ」に変更されています。

でっ!

 ウェットサンプ?

 ドライサンプって何?

という人もあるでしょうから、調べさせていただきました。

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1.オイル潤滑方式

オイルの潤滑方式は、エンジンオイルをオイルパンと呼ばれるオイルの受け皿に溜めて供給するか、別体のオイルタンクから供給するかの二通りになります。

(1)ウェットサンプ

ウェットサンプは、クランクケース下のオイルパンからオイルポンプで直接各部へ圧送するシンプルな構造です。

(2)ドライサンプ

ドライサンプは、オイルパンからスカベンジングポンプで独立したオイルタンクにオイルを圧送し、オイルタンクとエンジンを結ぶオイルラインを経てエンジンのオイルポンプで各部へ圧送する複雑な構造です。

<オイルポンプとは>
オイルポンプは、通常クランクシャフトで直動し、オイルストレーナーを通じてオイルパンに溜まったオイルを吸い上げてエンジン各部へ圧送するポンプです。

<スカベンジングポンプとは>
スカベンジングポンプは、オイルパンの中のオイルだけでなく、ミストやブローバイガスなどを同時に吸引するポンプなので、オイルポンプの約2倍(クランクケース内の圧力が負圧になるほど)の吸引量・吸引性能があります。

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2.メリット デメリット

(1)ウェットサンプ メリット

構造がシンプルで低コストで収まるため、四輪でも二輪でも一般的な車両はウェットサンプ方式です。オイルを下から抜いて上から注油するだけなのでオイル交換が簡単です。

(2)ウェットサンプ デメリット

エンジン下部のオイルパンに一定の容量が必要なため、エンジン全高が高くなります。
オイルが高温のエンジン内を循環するのでオイル温度が上昇しやすくなり、オイルの劣化も早くなります。
激しい走行をするとオイル油面が波打ったり片寄ったりして、吸い込み時にエアを噛みやすい欠点があります。

(3)ドライサンプ メリット

エンジン下部のオイルパンスペースを削れるのでエンジンがコンパクトになり搭載位置を下げることができます。冒頭の漫画の2台は、この低重心化による操縦安定性の向上を狙っているというわけです。

オイルが別タンクを迂回するため、オイル温度が比較的抑えられ、オイルの寿命が延びます。
激しい走行をしても、安定したオイル量を供給できるので、高性能車や競技車にはドライサンプの方が適していると言えます。

(4)ドライサンプ デメリット

2種類のポンプと別体オイルタンクが必要なため、重量とコストが増えます。

3.四輪と二輪の違い

(1)四輪

例えば、四輪レースの最高峰であるF1カーの加減速Gやコーナーでの横Gは、45Gと言われています。

自分の体重の45倍の重力で横から引っ張られたとしたら、吹っ飛びますよね(笑)

それだけのGが掛かれば、エンジン内のオイルも側面に移動してオイルパンに溜まらないのでウェットサンプだとオイルポンプで吸い上げられなくなります。

なので、四輪のレーシングカーの場合、別体オイルタンクから安定してオイル供給ができるドライサンプでなければ成り立たないんですね。

一般車ではどんなにぶっ飛ばしても1Gまで行かないからウェットサンプで十分であり、ドライサンプは国産車には不要なメカニズムと言われていましたが、「HONDA New NSX」にはドライサンプが採用されました。

F1で戦っているホンダらしさですよね。

外国車で有名なところではポルシェやフェラーリがドライサンプです。

(2)二輪

四輪レース車ではドライサンプでなければ成り立たないのに、二輪レースの最高峰であるMotoGPはウェットサンプなんです。

バイクの場合、車体を傾けてコーナーを曲がるから、遠心力と釣り合ってオイルはシッカリとエンジン底部に溜まります。

なので、部品点数や重量が嵩む別体オイルタンクは必要ないんですね。

現在のMotoGPマシンはドライサンプになりました。

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そう言いながら面白いもので、昔のバイクの場合はドライサンプも多くありました。

ちなみに、1969年に登場した「HONDA CB750 Four」はドライサンプ。

1972年登場の「Kawasaki 900 Super4 Z1」は上のCBより高性能なのにウェットサンプです。

また、オフロードバイクの場合は、エンジン下部を岩などにヒットしないように最低地上高を上げる目的で、オイルパンをコンパクトにできるドライサンプが普通なのだそうです。


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4.まとめ

激しい走行やレースなどを考えた場合、四輪だと、ドライサンプ化は安定したオイル供給だけでなく、エンジン搭載位置を下げて操縦安定性を上げるなどのメリットがあり、二輪はオフロード車などのエンジン底部を守るために、ドライサンプ化で最低地上高を上げられるメリットがあるというのが、逆の発想でなんだか面白いですよね。

要するに、ドライサンプは特殊な車両用のシステムということですね。

 良い勉強になりました♪ 

合わせて読みたい、「空冷エンジンと水冷エンジン どちらが好き?」というページもありますので、興味がありましたら覗いてみてくださいませ。

私の好みは空冷エンジンなのですが、所有バイクは水冷です。

メンテナンスの大変さなどから新しめの車両に乗っているという現実派でございます。

 それではまたっ♪

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